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視覚障害者の一般文書作成技法の歩み

視覚障害者の一般文書作成技法の歩み

ウェブアクセシビリティ入門 第69号

発行日 :2006年4月10日

  • 文字文化
  • 見える・見えないで 大違い
  • 違いをつなぐ インターネット

皆さんこんにちは。ウェブアクセシビリティ・プランナーの望月優です。

皆さんは「墨字」という言葉をご存知ですか?

これは、盲人側から見た普通の文字の呼び方です。

盲人にとっては「点字」が普通の文字、それに対して、目の見える人達が使っている文字を特定して呼ぶために「墨字」という言葉が「盲界」では一般的に用いられています。

そこで、今回は、盲人が墨字を書くために歩んできた歴史を、ある図書の一部を引用して紹介します。

ある図書?著作権は?

大丈夫。私が書いた本です。

 このメルマガでは、具体例を交えながら障害者や高齢者にも優しいウェブサイト作りのヒントをお届けしています。

視覚障害者の一般文書作成技法の歩み

(以下、「ヨメール物語:視覚障害者の読書革命」からの引用です。)


 視覚障害者がコンピュータを用いて墨字を書くための研究は、1970年代から行われていました。

 大阪府立盲学校教諭・川上泰一は、点字1マスを8つの点で表し、これを2マス用いて漢字を表現する漢点字体系を1967年に発表しました。

 これは、コンピュータによる点訳や代筆を意識したものではありませんでしたが、1980年代に入ってから、コンピュータとのインタフェースの一つとして用いられるようになりました。

 東京教育大学附属盲学校(現・筑波大学附属盲学校)教諭・長谷川貞夫は、1972年に、自動代筆と自動点訳を目標に、6点漢字を発表しました。

 これは、通常使われている1マスを6点で表す点字を、3マス用いて1文字の漢字を表現するものです。長谷川は、点字による漢字表現を確立することにより、墨字データと点字データとの1対1の変換が可能になると考えたのです。

 1974年12月、長谷川は辻畑の協力を得て、6点漢字データを記録した紙テープから漢字かな混じり文の墨字を印刷する実験に成功しました。当時は、漢字を印字することのできる墨字プリンタやこのような大量のデータを用いるプログラムを実行できるコンピュータを個人で持つことはできなかったので、この実験は国立国会図書館のコンピュータを借りて行われました。

 1981年に入ると、パソコン・メーカー各社から、個人でも購入できる価格のパソコンが発売されます。長谷川は、その中から富士通の「FM8」を選び、12月にはこれを用いた6点漢字入力による自動代筆を実現します。しかし、この時には、音声によるフィードバックがなかったため、利用者は自分のキー・タッチの感覚だけで、うまく書けているかどうかを判断しなければなりませんでした。

 1983年に高知システム開発は、長谷川式6点漢字入力機能を搭載した「AOKワープロ」を、NEC・PC-8801対応でリリースしました。このワープロ・システムでは、6点漢字による入力ができるのに併せて、外付けの音声合成装置「SSY02」によって入力の音声によるフィードバックや書いた文書を連続的に読み上げさせる機能を日本で初めて実現しました。これにより、6点漢字を知っていさえすれば、目が見えなくても墨字が書けるという社会的環境が整いました。

 一方、視覚障害者の録音タイピストを養成していた日本盲人職能開発センターは、それまでのカナタイプによるカタカナでのテープ起こしから脱却するために、「エポック・ライター音訓」を開発し、NEC PC-9800シリーズ上で用いるようになりました。「エポック・ライター」は、長谷川式6点漢字入力をフルキーで実現したものでした。このシステムが完成したのは、1984年のことでした。

 AOKワープロは、1987年にPC-9801対応となり、6点漢字を知らない多くの視覚障害者が念願していたかな・漢字変換による入力と詳細読みによる漢字の選択ができるようになりました。

 「詳細読み」というのは、「会」という文字を「あうのかい」、「貝」という文字を「かいがらのかい」、「回」という文字を「まわるのかい」などと説明する方法です。このような説明がつくことにより、視覚障害者が漢字を選択することができるのです。

 国立身体障害者リハビリテーション・センターでは、1988年に指導員・寺島彰と研究員・数藤(すどう)康夫が共同でバックス社のVJE-Penを音声化し、「NRCD-Pen」として発表しました。このワープロ・ソフトは、目の見える人が使っているワープロ・ソフトを改良して音声出力機能を加えることにより、ワープロの操作を教える目の見える指導員にとって親しみやすい操作方法と、一般の人が用いている高機能な編集機能を実現しました。

 このように、各地で「より便利な視覚障害者用ワープロ・ソフト」の開発競争が行われるようになりました。

 1990年代に入ると、ニュー・ブレイル・システムから「でんぴつ」、高知システム開発から「マイワード」、アメディアから「セシリア」が発売され、MS-DOS上で用いることのできる視覚障害者向けワープロ・ソフトが充実します。

 1995年にWindows95が発売され、目の見えるパソコン利用者のほとんどがWindows95を使うようになります。

 これを追いかけて、1998年11月に、高知システム開発が「マイワード」、ニュー・ブレイル・システムが「でんぴつWIN」をほぼ同時に発売して、現在に至っています。

 しかし、今では、スクリーンリーダーと呼ばれるWindows の画面読みソフトの機能が進歩してきたため、マイクロソフトワードやその他の一般用のエディタを用いて文書を書く視覚障害者もかなり多くなってきました。


上記の歴史的土台があって、現在視覚障害者がパソコン通信やインターネットを利用できるようになっています。

編集後記

本日は、私と美月めぐみさんとの共著「ヨメール物語」から一部を引用して紹介させて頂きました。

この図書ですが、もう7年も前に発行したものなので、今はほとんど売る体性になっていません。

出版社の株式会社大活字のホームページにも、「在庫なし」となっていました。

ですので、もしも万万が一この図書をご希望の方がおられましたら、このメールへの返信でお知らせください。

ほんの僅かアメディアで保有している在庫から販売させて頂きます。

ところで、Google を使って「ヨメール物語」で検索してみたところ、

1.アメディアサイト内のページ

2.アマゾンのページ

3.出版社である大活字のページ

の順に出てきました。

アメディアのページも、今は紹介の体性にはなっておらず、おそらく、アメディアのトップページからリンクを辿って探して見つけるのは至難の業だと思います。

その意味で、検索エンジンの便利さを改めて痛感させられました。

今、ちょうどSEOとアクセシビリティとの関係についてのEブックをほとんど書き終えたところです。

適切なSEO対策はウェブアクセシビリティの1領域なんだなということを改めて確信でき、Eブック発売直前でまた一つ安堵しています。

■ウェブアクセシビリティは、どんな方にも読み易いサイト作りの心配りです

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本誌では、全盲の望月優が現在までに紹介されているノウハウと自らの考察による新しいノウハウを、全身全霊を込めて説明・紹介して行きます。

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