みんなで築くウェブアクセシビリティ
みんなで築くウェブアクセシビリティ
ウェブアクセシビリティ入門 第34号
発行日 :2005年8月8日
- 私達
- 各自が一歩 踏み出せば
- アクセシビリティ これ遠からじ
皆さんこんにちは。ウェブアクセシビリティ・プランナーの望月優です。
実は、このメルマガの読者がかなり増えています。
本誌をご友人などに紹介いただいた皆様のお陰です。
皆様に心より感謝致します。
そこで、今回の号は一つの区切りとして、ウェブアクセシビリティについての私の考え方の骨組みをお話させて頂きます。
このメルマガでは、具体例を交えながら障害者や高齢者にも優しいウェブサイト作りのヒントをお届けしています。
本日のメインテーマ:みんなで築くウェブアクセシビリティ
印刷技術の発明
グーテンベルクが印刷技術を発明したのは15世紀末のことでした。
この技術が、16世紀初頭の宗教改革で聖書の印刷に用いられて大衆化しました。
この印刷技術の大衆化により、印刷物を読める人と読めない人との間に、大きな較差(バリア)ができました。
目が見えていれば、教育を受けさえすれば文字が読めるようになり、印刷物が読めるようになりますが、目の見えない障害者は、自分の努力ではどうにもならないバリアとなりました。
このバリアを解消するための技術開発や社会活動がこれまで500年にわたって行われてきています。
ブライユによる点字の発明(1825年)、エジソンによる録音技術の発明(1887年)、そしてこれらの技術を利用した点訳や録音のボランティア活動などが、印刷物を読むことのできない視覚障害者にとってのバリア解消に大きく貢献してきました。
さらに、つい最近急速に発展してきたOCR技術により、印刷物を直接読み上げる機器も登場し、この分野におけるバリアフリーは着実に進展しています。
バリアフリーサイクル
このように、
技術の進歩→技術の大衆化(バリアの発生)→バリアフリーへの努力→バリアフリーの現実化のサイクルを、私は「バリアフリーサイクル」と名づけました。
インターネットとバリアフリーサイクル
インターネットは印刷物とは異なり、最初から障害者にとってバリアフリー的要素を多く含んでいます。
この場合は、開発者の意図によるものではないかも知れませんが、このように、最初からバリアフリー的に設計しようとする考え方をユニバーサルデザイン(UD)と呼びます。
インターネットのうち、ウェブに関しては、1995年のWindows95の発売により大衆化に大きく踏み出すとともに、1997年秋のホームページリーダーの発売により、視覚障害者の中にも急速に普及してきつつあります。
印刷物分野では500年かかった1回転サイクルが、インターネット分野では2年で1回転したわけです。
このように、もともとがバリアフリー的な新技術のインターネットの基盤の上では、バリアフリーサイクルはかなりの速さで回転します。
ウェブアクセシビリティの果たす役割
ウェブアクセシビリティは、その名称からも明らかなように、ウェブの技術を現実化するときに、より多くの人達にアクセシブルにしようとする具体的な行動です。
つまり、バリアフリーサイクルのスキームでは、バリアフリーへの努力に位置付けられます。
ウェブアクセシビリティは動的である
ということで、バリアフリーサイクルの努力は、新技術が大衆化するならば、速やかに行われなければなりません。
例えば、PDFというファイル形式が一般的ではなく、一部マニアの人達だけに使われている段階では、これをアクセシブルにするという努力はさほど必要はなかったでしょう。
しかし、現在のように、大衆化した段階においては、これをアクセシブルにするための努力、つまりバリアフリー努力が各方面から行われなければなりませんし、現実にそれは行われています。
このように、ウェブアクセシビリティに取り組む私達は、進歩の止まった「アクセシビリティのノウハウ」を求めてはいけません。
インターネット技術が進歩しつつある以上、ウェブアクセシビリティの具体的ノウハウも、きわめて動的なのです。
文明の進歩とウェブアクセシビリティ
繰り返しますが、
技術の進歩→技術の大衆化(バリアの発生)→バリアフリーへの努力→バリアフリーの現実化
のサイクルは、文明進歩の方程式です。
たかが20年程度の歴史しか持たないインターネットの世界、新技術の登場を毛嫌いしてはいけません。大歓迎なんです。
ただ、
バリアフリーの努力→バリアフリーの現実化
の段階では、
技術者は新技術をバリアフリーにすることに挑戦し、
ウェブデザイナー・クリエイターはバリアフリーが実現できる技術の組み合わせでバリアフリーの現実化を目指し、
利用者は技術的に実現されているスキルを習得するとともに、しかるべきところに適切で具体的な提案を発信していくことが大切です。
本メルマガと私達の役割
本メルマガの読者は、皆さんウェブのアクセシビリティの向上を願う人達です。
ということは、本メルマガは、ウェブ分野における
バリアフリーの努力→バリアフリーの現実化
の速度を速め、ウェブサイト(もちろんブログやSNSなども含みます)のバリアフリーサイクルを速く回転させる役割を現に担っています。
「バリアフリーの現実化」は、技術的な手法で達成することもありますし社会的な対応で実現することもあります。
さらには、ゴミの分別収集のように、一人一人の心配りでも達成に大きく歩み寄ります。
読者の皆様一人一人が、一つでも具体的な行動を起こしてくだされば、ウェブアクセシビリティは大きく好転します。
なにせ私達の仲間は1万人もいるのですから。
編集後記
私事ですが、今年の夏は、今のところ自宅では冷房を入れていません。
でも、先週は結構きつかった。
去年より約16キロダイエットしているので、一応何とかこなせていると思います。
さて、夏の終わりまで続けられるかどうか?
ウェブアクセシビリティのコンサルティングや講演を承ります。
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発行理念
本誌は、ウェブサイト作りに取り組む皆様とその構築に責任を持つ方々が皆障害者や高齢者の存在に配慮したサイト作りに励んで頂くことを願って発行しています。
ウェブアクセシビリティの分野はまだ注目され始めたばかり、その具体的なノウハウの定番はまだほとんどないと言っても過言ではありません。
インターネット技術は常に進歩、変化しつつあります。その点からみると、いくら追求しても「定番」の確立はありえないのかも知れません。
本誌では、全盲の望月優が現在までに紹介されているノウハウと自らの考察による新しいノウハウを、全身全霊を込めて説明・紹介して行きます。
ウェブアクセシビリティに関して秘密にするノウハウは一切ありません。全てのサイトがアクセシブルになって欲しいからです。
私の誤解や知識不足から、誤った説明や不適切な提案をしてしまうことがあるかも知れません。それに気がついたときには速やかに訂正致します。
ですから、読者の皆様からの指摘や提案が非常に大きな手助けとなります。
このメルマガを通して、ゆるやかな「ウェブアクセシビリティ大連合」が形成されていくことを念じて、発行を続けて参ります。
セミナー、講演の依頼は下記ページよりご遠慮なく
本誌では、
「JIS X 8341-3 高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス- 第3 部:ウェブコンテンツ」
をしばしば引用させて頂いております。
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