ウェブアクセシビリティ入門 第11号
■どんな方にも判り易いウェブサイトを目指して■
ウェブアクセシビリティ入門 第11号
ウェブサイトの効能
このメルマガでは、具体例を交えながら障害者や高齢者にも読みやすいウェブサイト作りのヒントを毎週お届け致します。
目次
- ウェブサイトとそれを閲覧する環境とのコラボレーション
- 全盲者にとっての効能
- 弱支社など、全盲以外の視覚障害者にとっての効能
- 聴覚障害者にとっての効能
- 肢体不自由者にとっての効能
- 知的障害者にとっての効能
- 高齢者にとっての効能
- 効能のまとめ
- 編集後記
挨拶
皆さんこんにちは。発行人の望月優です。
前回までは、かなり視覚障害者よりの説明に終始していました。
そう、「盲人の主張」になっていました。
で、今回からは、気持ちをリセットして、多くの読者の皆様のニーズに答えて、ウェブアクセシビリティの原則をWEBJISに立脚して順次解説して行くつもりです。
とは言っても、私自身目が見えないので、どうしても少し視覚障害者よりになってしまうかも知れません。
そのときはご勘弁くださいね。
それでは、今回もじっくりとお楽しみください。
ウェブサイトとそれを閲覧する環境とのコラボレーション
「ウェブアクセシビリティJIS(JISX8341-3)」(以下、WEBJISと記します)には、それを包含する上位の規格があります。
それは、「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス」の「第1部:共通指針」です。
これによると、情報アクセシビリティとは「高齢者・障害者が、情報通信機器、ソフトウェア及びサービスを支障なく操作又は利用できる機能」と定義されています。
伝えるべき情報は、情報の出し方と情報を受ける側の機器やソフトウェアの性能とのコラボレーションによって実現されます。
実は、このことは、障害者や高齢者に限ったことではなく、普通の人でもそうなのです。
いくらウェブサイトをアクセシブルに作っても、電気が使えない地域に住んでいる人にはアクセスできません。普通のテレビしかもっておらず、パソコンや携帯電話などのインターネットにアクセスできる機器やサービスを利用していなくてはアクセスできません。
そのため、JISでの定義は、機器、サービス、ソフトウェアなどを包含したものになっているのです。
全盲者にとっての効能
全盲の視覚障害者は、1825年にフランス人、ルイ・ブライユが考案した点字という文字を持っています。
視覚障害者仲間では、点字に対して普通の印刷された文字を「墨字」と呼びます。以前は墨で書いていたからでしょうね。
この点字と墨字、相互変換が非常に難しいものですから、全盲者は墨字を利用する人達とはかなり離れた文字文化をもつようになりました。
(最新状況)
もちろん、情報量は墨字の方が圧倒的に多く、墨字を読みたいというのが全盲者の長年の願いでした。
そんな中、OCRソフトも進化し、ある程度は墨字を自力で読めるようになりました。
(最新状況)
しかし、まだまだOCRでの読書には、
- 手間がかかる、
- 読み取りに時間がかかる、
- 正確に読めない個所が少なくない、
などの課題があります。
そんな中、20世紀が押し迫った1990年代後半になって、インターネットというものが急速に普及してきました。
インターネット上にあるウェブサイトは、手の込んだ作り方さえしていなければ、全盲者も音声ブラウザを用いることによって読むことができるのです。
これは、全盲者にとっては大変な「文化大革命(言葉のイメージはよくありませんが、本当)」なのです。
ウェブサイト上では、目の見える人達が得ている情報とほぼ同じ量の情報を得ることができるのですから。
弱支社など、全盲以外の視覚障害者にとっての効能
全盲以外の視覚障害者にとっても、墨字を読むのがきつかったという意味で、全盲者が得ているのとかなり近い効能があります。
そのポイントは、
- 墨字印刷物なら、顔を擦り付けるようにするなどして、自分の方から必死の努力をして読まなければならない。
- ウェブサイトなら、表示の設定を変更して、自分に読みやすい配色や書体、文字の大きさなどを選んで無理なく読むことができる。
というところにあります。
「ウェブアクセシビリティ」の大切さが身に染みてきましたでしょ!
よって、弱支社などの少しだけ見える方々にとっては、ユーザー・カスタマイズのできない画面のつくりがもっともアクセシビリティがよくないと言えるでしょう。
聴覚障害者にとっての効能
聴覚障害者にとっての効能は、ほぼ一般の健常者が享受している効能と同じだと考えていただいて良いでしょう。
その中で、音声や音楽だけで情報が提供されているページからは、聴覚障害者は適切な情報を得ることができません。
よって、音声や音楽だけで構成されているようなページが、もっともアクセシビリティの悪いページになります。
肢体不自由者にとっての効能
肢体不自由者といってもいろいろな障害特性を持つ方がおり、ひとくくりにはできません。
その中で、特にページを自分でめくることができないといったような重度の障害者にとっては、キーボードやスイッチを始めとするインタフェースを本人用に調整することにより、自力でウェブサイトを見ることができるようになります。
この意味においては、墨字が読めない全盲者とおおよそ同じ効能を享受していることになります。
ただ、キーボードやスイッチなどを操作する身体が不自由なのですから、時間制限のあるページはもっともアクセシビリティに配慮されていないと言えるでしょう。
知的障害者にとっての効能
障害の大分類は、
- 知的障害
- 身体障害
- 精神障害
の3分類です。
視覚障害と聴覚障害も、大分類では「身体障害」に入ります。
精神障害者の方々は、うつ病になったり引きこもったり、あるいは幻覚や幻聴が見えたり聞こえたりするという症状ですから、ウェブサイトのデザインに関しては、健常者とほぼ同じと考えて良いでしょう。
一方、知的障害者はどうでしょうか。
これまで、本の多くはなかなか難しくて、辛抱して読むということができなかったかも知れません。
しかし、ウェブサイトの場合には、動画や音楽、音声などのマルチメディアを駆使することができるのです。
この辺りを考えると、知的障害の方々が勉強したり、仕事をしたり、あるいは日常生活を豊かにするための楽しみのサイトなども作ることができるのではないでしょうか。
この切り口はウェブアクセシビリティとは少し異なるかもしれませんが、本号のタイトル「ウェブサイトの効能」にもっともフィットした観点のように思えます。
高齢者にとっての効能
効能という言葉から考えると、高齢者にはウェブサイトにアクセスする効能はあまりないように思えます。
世の中でどんどん普及してしまったので、アクセスできないと世の中の流れに遅れてしまうといったような、人生防御的な気持ちでいたしかたなくはじめる方々が多いかも知れません。
しかし、今は高齢化社会、高齢者の人口比率がどんどん増えています。
ということは、実は、高齢者へのアクセシビリティは、ウェブサイト・オーナー側に大変大きな効能をもたらすという事実を見逃すわけには行きません。
まぐまぐさんのビジネス分野のサイトを見ていると、
- 儲けるためのウェブサイトの仕組み
- インターネットで稼ぐ方法
などの、利益を目的としてウェブサイトやインターネットを利用するためのノウハウ・メルマガがたくさん出ています。
私もそんなにたくさんは読んでいないのですが、私が読んでいる範囲では、ウェブサイトの高齢者へのアクセシビリティについて触れたものを見たことがありません。
儲けるとか利益を上げるという角度から、高齢者へのアクセシビリティは、ウエブサイト・オーナー側に大変大きなメリットをもたらすことは間違いありません。
理由がどこにあっても、アクセシビリティの高いサイトやページが増えることは社会を活性化します。
読者の皆さん、是非、インターネットで儲けたいと考えているお友達にも本誌を紹介してください。
効能のまとめ
結局ウェブサイトの効能は、以下のようにまとめられます。
- 印刷された本を自力で読むことのできなかった視覚障害者やページをめくれない方、寝たきりの方などに有力な情報源を与えた。
- 印刷物ではできなかったマルチメディアによる新たな教育材料や楽しみの材料を障害者を含むいろいろな人達に提供できるようになった。
- 高齢者や障害者もマーケットの対象にするチャンスが与えられた。
これらの効能をフルに発揮させる上で、ウェブアクセシビリティが非常に大きな役割を果たしていくのです。
編集後記
ニッポン放送をめぐってのフジテレビとライブドアの争奪戦を複雑な思いで見ています。
というのは、つい3ヶ月前にはアメディアはニッポン放送のデジタル・チャリティーミュージックソンの共産企業のひとつになって、視覚障害者へのチャリティー募金活動に協力していたからです。
先週、ニッポン放送の社員一同がライブドアの経営参入に反対する声明を発表しましたね。
ということは、私も番組の一部に出演させていただいたのですが、その企画を担当していたデジタル・コンテンツ部の人達もこの中に入っているのだなと思うと、とても複雑です。
実際、ニッポン放送のインターネット放送「ブロードバンドニッポン」は、1日に3時間ぐらいしか番組を流していないので、私も実はもったいないなと感じていたんです。
堀江さんが経営に参画すれば、きっと後の21時間も金になるような使い方をするのだろうななどと想像しています。
ニッポン放送、ブロードバンドニッポンを聞くには、 ニッポン放送 から入って、ページのエンドにジャンプしてから少し戻るとすぐに見つかります。
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アメディアの社員が輪番で編集を担当していますので、編集人の個性が出て、毎号雰囲気が違うのも一つの楽しみです。
奥付
発行日 :2005年3月7日
発行人 : 望月優(モチヅキ ユウ)
発行元 : 株式会社アメディア
〒169-0051
東京都新宿区西早稲田2-15-10西早稲田関口ビル3F
電話番号 :03-5286-7511
FAX番号 :03-5286-2567
アメディアのウェブアクセシビリティ・ガイド (参考にしてくださいね)
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ボイスサーフィンブログ (アップデートな話題で満載)
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